理論物理学院生日記

理系院生のしがない日常

ファミレスで流体力学実験-トリチェリーの定理

突然ですが問題です!

f:id:tompaul0530:20210901225954j:image

このドリンクの中で1番出るのが早いのはどれでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は…

 

 

 

 

 

 

コーヒーです!

 

 

因みに1番出るのが遅いのはオレンジ色の野菜ジュースです。

 

コーヒーと野菜ジュースを同じ時間だけ注ぐと下の写真の様にハッキリと違いが見えます。

f:id:tompaul0530:20210901230428j:image

コーヒーがほぼコップいっぱいになる頃には野菜ジュースはまだ半分ほどしかありません。

 

 

なぜ、野菜ジュースとコーヒーで出る速さ(量)がこれだけ違うのか。

実はこれには流体力学が絡んできます。

 

 

少し考えてみましょう。

 

f:id:tompaul0530:20210901232043j:image

今、小さい穴が空いた容器の中に液体が入っているとします。

 

液面の位置をA、穴の位置をBとします。

 

容器の底からの高さをAではZ_A、BではZ_Bとします。

 

 

Bから出る液体の速さをV、液体の密度をρ、重力加速度をgとすると次の様な式が成り立ちます。

f:id:tompaul0530:20210901232928j:image

これは流体力学でのベルヌーイの定理から導かれるものです。

 

今、この式について

f:id:tompaul0530:20210901233209j:image

として速度Vについて解くと、

 

f:id:tompaul0530:20210901233316j:image

となります。この式を"トリチェリーの定理"といいます。

 

この式hは注ぎ口から液面の高さであることから、液面が高ければ高いほど注ぎ口から液体が早く出るということです。

 

ちなみに出てくる液体の量は流速に比例します。

 

野菜ジュースとコーヒーの出た液体の量は

f:id:tompaul0530:20210901233938j:image

液面の高さからだいたい2:3とすると、

 

野菜ジュースコーヒーの流速の比はだいたい2:3と考えることができます

 

このことから、 

野菜ジュースの液面の高さ」:「コーヒーの液面の高さ

はだいたい

4:9

と考えられるわけです。

 

ここで1番最初の写真に戻ると、

f:id:tompaul0530:20210901225954j:image

 

まぁ、たしかにだいたい4:9ですね。

 

てな感じで、ファミレスの片隅で流体力学の実験ができるわけです。

 

今回は思いついたその場で写真取ったのでだいぶ精度が低いものでしたが、

今度ゆっくりできる時にもう一度精度良くなるようにやってみようと思います。

 

皆さんもファミレス行く機会があったときにぜひ試してみて下さい。

 

[おすすめの参考書]